【新連載】なぜ今「Ubuntu」なのか?Linux界の二大巨頭を知る
こんにちは!当サイト管理人の「リナックス先生」です。
そして、先日めでたくLAMP環境構築マスターとなった「コウ君」、調子はどう?
先生!前の連載で作った掲示板アプリ、友達に見せびらかしてます!
でも…ちょっと困ったことがありまして。
最近流行りの「AI」とか「機械学習」の勉強もしようと思って本を買ったら、全部「Ubuntu(ウブントゥ)で解説します」って書いてあるんです。
僕が覚えたAlmaLinuxじゃダメなんですか…?(泣)
いいところに気がついたわね、コウ君。
実はLinuxの世界には「二大派閥」が存在するの。
一つは前回学んだ「RHEL系(Red Hat系)」。そしてもう一つが、今回登場する「Debian(デビアン)系」よ。
そのDebian系の頂点に君臨し、現在世界で最も使われているOSこそが「Ubuntu」なの。
本日からスタートする短期集中連載(全3回)では、AlmaLinux(RHEL系)の知識を持ったあなたが、もう一つの必須スキルである「Ubuntuサーバー」を使いこなせるようになるための講座を行います。
これを学べば、あなたは「堅牢な業務システム」から「最先端のAI開発」まで、あらゆる現場に対応できるフルスタックなインフラ知識を手に入れることができます。
本講座のカリキュラム(全3回)
RHEL系との違いを比較しながら、実践的なUbuntuの作法を学びます。
- 【今回】Ubuntu入門編:RHEL系との決定的な違い、ライセンス、そしてVPSでの構築
- 基本操作編:さよならyum/dnf!「APT」コマンドとUbuntu流の流儀をマスターする
- 実践活用編:Webサーバー(Nginx)の構築と、Docker/AI開発への応用
Ubuntu(ウブントゥ)とは何か?
名前の由来と哲学
「Ubuntu」という言葉は、アフリカのズールー語で「他者への思いやり」や「あなたがいるから私がいる」という意味を持っています。
このOSは、南アフリカの実業家マーク・シャトルワース氏が設立したCanonical(カノニカル)社によって支援され、開発されています。
最大の特徴は、キャッチコピーである「Linux for Human Beings(人間のためのLinux)」に表れています。
かつて「黒い画面で難しい呪文を打つOS」だったLinuxを、「誰でも簡単に使えるOS」へと進化させた立役者こそがUbuntuなのです。
Linux界の家系図:Debianの一族
コウ君、前回学んだAlmaLinuxは「Red Hat Enterprise Linux (RHEL)」の家族(クローン)でしたね。
対してUbuntuは、「Debian GNU/Linux(デビアン)」という、非常に歴史ある厳格なコミュニティベースのLinuxを親に持っています。
イメージとしてはこんな感じです。
- RHEL系(Red Hat, CentOS, AlmaLinux, Rocky Linux)
スーツを着た堅実なビジネスマン。安定性第一。企業の基幹システムで大人気。 - Debian系(Debian, Ubuntu, Linux Mint, Kali Linux)
Tシャツを着た天才エンジニア集団。自由を愛する。最新技術への対応が早い。
なるほど!
AlmaLinuxがお堅い銀行員だとしたら、Ubuntuはシリコンバレーのスタートアップ企業みたいな感じですね!
いい例えね。
でもUbuntuのすごいところは、その「新しさ」を持ちつつ、ビジネスで使える「信頼性」も兼ね備えている点なの。
だから、個人の趣味からAmazonやGoogleのクラウド基盤まで、幅広く使われているのよ。
RHEL系(AlmaLinux)と何が違うの?徹底比較
エンジニアとして働く上で、「ここは違うぞ!」と意識すべきポイントをまとめました。
これを知らないと、コマンドを打った瞬間にエラーが出てパニックになります。
1. パッケージ管理コマンド(dnf vs apt)
これが最大の違いです。
アプリをインストールする際、RHEL系では dnf (またはyum) を使いましたが、Ubuntuでは apt (アプト) を使います。
| 動作 | AlmaLinux (RHEL系) | Ubuntu (Debian系) |
|---|---|---|
| ソフトの更新 | dnf update |
apt update && apt upgrade |
| インストール | dnf install httpd |
apt install apache2 |
| 削除 | dnf remove httpd |
apt remove apache2 |
さらに、インストールされるソフトのパッケージ名も微妙に違います。
例えばWebサーバーのApacheは、RHEL系では httpd でしたが、Ubuntuでは apache2 という名前になります。
「httpdが見つかりません」というエラーが出たら、OSの違いを疑いましょう。
2. 設定ファイルの場所
ネットワーク設定やサーバー設定ファイルの場所も異なります。
RHEL系が一つのファイル(httpd.conf)にまとめて書く文化なのに対し、Ubuntuは「機能ごとにファイルを細かく分割して、リンクで有効化する」という管理手法を好みます。
最初は戸惑うかもしれませんが、慣れると「どの設定が有効になっているか」が管理しやすい構造になっています。
3. ライセンスとサポート期間
ここがビジネス採用時の決め手になります。
- RHEL系:
Red Hat社にお金を払ってサポートを受けるか、無料の互換OS(AlmaLinux等)を使うか。無料版はコミュニティサポートがメイン。 - Ubuntu:
基本はずっと無料。しかし、Canonical社にお金を払えば「Ubuntu Pro」という強力なエンタープライズサポートを受けられる。
そして重要なのが「LTS(Long Term Support)」という考え方です。
Ubuntuは半年に1回新しいバージョンが出ますが、2年に1回(西暦の偶数年の4月)に「5年以上の長期サポート版(LTS)」がリリースされます。
サーバー用途では、コロコロ仕様が変わると困るため、必ずこの「LTS版(例:22.04 LTS, 24.04 LTS)」を使います。
なぜ今、Ubuntuが選ばれるのか?
理由1:AI・機械学習との親和性が最強
Python、TensorFlow、PyTorch、Docker、NVIDIAドライバ…。
現代の最先端技術のドキュメントは、ほぼ全て「Ubuntu」を標準環境として書かれています。
RHEL系でも動かないことはないですが、ライブラリが古かったり、インストールに複雑な手順が必要だったりすることが多いです。
「apt install 一発で環境が整う」という手軽さが、開発者たちに愛されている最大の理由です。
理由2:クラウド時代の標準OS
AWS、Google Cloud、Microsoft Azure。
これらのクラウドサービスで仮想マシンを立ち上げる際、最も多く選ばれているOSがUbuntuです。
情報量が圧倒的に多く、トラブルが起きても検索すればすぐに答えが見つかります。
理由3:WSL(Windows Subsystem for Linux)の存在
Windows 10/11の中でLinuxを動かす「WSL」という機能がありますが、これのデフォルトもUbuntuです。
つまり、今や多くのエンジニアにとって「Linux=Ubuntu」という認識になりつつあるのです。
実践:VPSでUbuntuサーバーを立ち上げよう
御託はこれくらいにして、実際にUbuntuを触ってみましょう。
今回も、自分のPCにインストールするのではなく、VPS(仮想専用サーバー)を使います。
先生、僕のノートPCに入れてデュアルブートにしようかと思ったんですけど、ダメですか?
絶対にやめなさい。
初心者がデュアルブートに手を出すと、Windowsごと起動しなくなって泣くことになるわ。
それに、サーバー用途なら24時間動かし続けるVPSを使うのが常識よ。
月額数百円で、壊してもボタン一つで直せる「安全な実験場」を手に入れなさい。
まだVPSを持っていない、またはAlmaLinuxの実験で使い潰してしまった人は、この機会にUbuntu用の新しいサーバー契約をおすすめします。
この講座では、初心者でも使いやすくコスパに優れたConoHa VPSを推奨環境として進めます。
▼Ubuntuの学習に最適なVPSはこちら

OSの選択:Ubuntu 22.04 LTS (または24.04 LTS)
VPSの申し込み画面でOSを選ぶ際、必ず「Ubuntu」を選択してください。
バージョンは、その時点での最新のLTS(Long Term Support)を選びます。
(2024年現在なら 22.04 LTS または 24.04 LTS が推奨です)
最初の儀式:SSH接続とアップデート
VPSが用意できたら、SSHで接続してみましょう。
接続方法はAlmaLinuxの時と全く同じです。
ssh root@123.456.78.90
ログインできたら、プロンプト(root@...)が表示されます。
ここで、Ubuntuにおける「最初の儀式」を行います。
RHEL系では dnf update でしたが、Ubuntuでは以下の2つのコマンドをセットで実行します。
apt update apt upgrade -y
コマンドの意味
apt update
「どのソフトの、どのバージョンが最新か?」というカタログ情報(リスト)だけを更新します。これだけではソフト自体は更新されません。apt upgrade
更新されたカタログ情報を元に、実際にインストールされているソフトを最新版に入れ替えます。
ズラズラと文字が流れ、最後にプロンプトが戻ってくれば完了です。
これで、あなたのUbuntuサーバーは最新かつ安全な状態になりました。
次回予告:aptコマンド完全攻略
今回は、Ubuntuの概要と、RHEL系との違いについて解説しました。
「スーツを着たRed Hat」と「Tシャツを着たUbuntu」の違い、イメージできたでしょうか?
次回は、Ubuntuを使いこなすための最重要ツール、パッケージ管理システム「APT」について深掘りします。yum や dnf との違いや、Ubuntuならではの便利なコマンドオプション、そして「sudo(スードゥ)」の文化についても解説します。
世界標準のOSを使いこなす第一歩、次回も遅刻厳禁ですよ!
次回までに、必ず自分のUbuntuサーバーを用意して、apt update まで終わらせておくこと!
新しいOSに触れるのはワクワクするわね。次回も楽しみにしていて!
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