【サーバー管理入門 第1回】「使う人」から「守る人」へ。Linuxサーバー管理者の仕事と環境構築

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【サーバー管理入門 第1回】「使う人」から「守る人」へ。Linuxサーバー管理者の仕事と環境構築

こんにちは!「リナックス先生」です。
これまでコマンド操作やシェルの書き方を学んできましたが、今回からは視点を一段階引き上げます。
コウ君、ただLinuxを「使う」のと、サーバーを「管理する」ことの決定的な違いって何だと思う?

コウ君

えっと……root権限を持っているかどうか、ですか?
アプリをインストールしたり、設定ファイルを書き換えたりできるのが管理者、というイメージです。

リナックス先生

半分正解だけど、プロの視点では少し足りないわね。
サーバー管理者の仕事は「サービスを止めないこと」そして「データを守り抜くこと」よ。
コマンドを打つのは手段に過ぎないわ。
今回から始まる全12回の講座で、インフラエンジニアとして現場で戦える知識を叩き込んであげるわ!

新シリーズ「Linuxサーバー管理者入門」の第1回となる今回は、サーバー管理者の心構え、Linuxディストリビューションの選定基準、そして学習用環境の構築(VirtualBox + AlmaLinux 9)について徹底解説します。
ここでの土台作りが、今後のエンジニア人生を左右すると言っても過言ではありません。

本講座のカリキュラム(全12回)

本講座では、実務で採用率の高い AlmaLinux 9 (RHEL 9互換) を使用し、ゼロから堅牢なサーバーを構築・運用するスキルを習得します。

  1. 【今回】サーバー管理入門:RHEL系OSの選定理由とローカル仮想環境の構築
  2. 初期設定とセキュリティの要:SSH鍵認証、禁止設定、ユーザー管理の鉄則
  3. パッケージ管理の裏側:dnf/rpmの仕組みとリポジトリの依存関係解決
  4. ネットワーク設定の極意:nmcli、IPアドレス設計、DNSリゾルバの設定
  5. ストレージ管理とファイルシステム:LVMの概念、ディスク拡張、fstabの罠
  6. プロセスとサービス管理:systemd (systemctl) の仕組みとUnit定義ファイルの作成
  7. Webサーバー構築(Nginx):ハイパフォーマンスWebサーバーの導入と設定最適化
  8. データベース構築(MariaDB):インストール、初期セキュリティ、バックアップの基礎
  9. ログ管理とトラブルシュート:rsyslog、journalctl、ログローテートの設計
  10. 自動化の第一歩:Cronによる定期実行と管理用シェルスクリプトの作成
  11. バックアップと障害復旧:tar/rsyncによるデータ保全とリカバリ手順
  12. 監視と運用設計:サーバーのリソース監視、死活監視、そしてプロの運用論

1. なぜ「Linux」で「RHEL系」なのか?プロのOS選定基準

サーバーを構築する際、最初に直面するのが「どのOSを使うか」という問題です。
Windows Serverも存在しますが、Web業界やクラウドインフラの世界ではLinuxが圧倒的なシェアを誇ります。

CUI (CLI) が選ばれる理由

初心者は「黒い画面(ターミナル)」を敬遠しがちですが、サーバー管理においてGUI(グラフィカル操作)は以下の理由から「不要」または「悪」とされます。

  • リソースの浪費: GUIを描画するためにCPUやメモリを消費するのは、サーバー本来の目的(Web表示やDB処理)にとって無駄です。
  • セキュリティリスク: 余計なプログラム(GUI関連のパッケージ)が入っているほど、脆弱性が生まれる隙が増えます。
  • 自動化の妨げ: マウス操作は自動化が困難ですが、コマンド操作はスクリプト化して再利用可能です。

RHEL系 (AlmaLinux/Rocky) vs Debian系 (Ubuntu)

Linuxには数多くのディストリビューション(配布形態)がありますが、ビジネスサーバー用途では大きく2つの派閥があります。

系統 代表的なOS 特徴 主な用途
RHEL系
(Red Hat系)
Red Hat Enterprise Linux (RHEL)
AlmaLinux
Rocky Linux
圧倒的な安定性と長期サポート(10年)。
日本のエンタープライズ(企業システム)でデファクトスタンダード。
基幹システム
金融・公共系
大規模Web
Debian系 Ubuntu LTS
Debian
最新技術の導入が早く、パッケージ数が多い。
AI/機械学習や開発者個人の環境で人気。
AI開発
コンテナ基盤
スタートアップ

本講座では、日本のインフラエンジニア求人で最も需要が高く、かつ「CentOS」の後継として地位を確立した「AlmaLinux 9」を採用します。
RHEL系を扱えるようになれば、Amazon Linux 2/2023(AWS)やOracle Linuxなど、他の派生OSも違和感なく操作できるようになります。

💡 CentOS はどうなったの?

かつてサーバーOSの代名詞だった「CentOS」は、2021年に開発方針が変更され(CentOS Stream)、安定版としての役割を終えました。
その代替として生まれたのが、RHELと1:1の互換性を持つAlmaLinuxRocky Linuxです。
現在、新規構築案件でCentOSが選ばれることはまずありません。

2. 安全な実験場を作る:VirtualBoxの導入

いきなりクラウド(AWSやVPS)を契約するのも良いですが、失敗してサーバーが起動しなくなったり、セキュリティ設定ミスで攻撃されたりするリスクがあります。
まずは手元のPCの中に「仮想的なPC」を作り、そこで何度でも失敗できる環境(サンドボックス)を構築しましょう。

今回は、無償で利用できる仮想化ソフトの定番「Oracle VM VirtualBox」を使用します。

Step 1: VirtualBoxのインストール

公式サイトから、お使いのOS(Windows/Mac)に合わせてインストーラーをダウンロードし、インストールしてください。
設定は基本的にデフォルトのままで問題ありません。

  • 公式サイト: https://www.virtualbox.org/

Step 2: AlmaLinux 9 のISOイメージを入手

OSのインストールディスクにあたる「ISOファイル」をダウンロードします。
AlmaLinuxは国内のミラーサイトからダウンロードすると高速です。

  1. AlmaLinux公式サイト(https://almalinux.org/)へアクセス。
  2. 「Download」をクリック。
  3. Version 9.x の x86_64(Intel/AMD系)を選択。
  4. ミラーサイトリストから「boot.iso」ではなく「dvd.iso」または「minimal.iso」をダウンロードします。
    • ※ 本講座では学習用にあえて最小構成から作るため「minimal.iso」を推奨しますが、容量に余裕があれば「dvd.iso」でも構いません。

3. 仮想マシンの作成とOSインストール

ここがエンジニアとしての最初の仕事です。
「なんとなく次へ」を押すのではなく、各項目の意味を理解しながら進めてください。

Step 1: 仮想マシンのスペック定義

VirtualBoxで「新規」をクリックし、以下の基準で設定します。

  • 名前: AlmaLinux9_Server (わかりやすい名前)
  • タイプ: Linux
  • バージョン: Red Hat (64-bit)
  • メモリ: 2048MB (2GB) 以上推奨
    • ※ GUIなし(CUIのみ)なら1GBでも動きますが、dnf等の処理速度を考慮して2GB確保します。
  • ハードディスク: 20GB 以上
    • ※ 可変サイズ(VDI)にしておけば、実際の物理容量を最初から20GB食うわけではありません。

Step 2: ネットワーク設定(重要)

デフォルトの「NAT」だけだと、ホストOS(あなたのPC)からTera Term等でSSH接続するのが面倒です。
「ブリッジアダプター」に変更することをお勧めします。

  • 設定 > ネットワーク > アダプター1: 「ブリッジアダプター」を選択
  • ※ これにより、仮想マシンがご自宅のルーターから直接IPアドレスをもらう形になり、家庭内LAN上の独立した1台のサーバーとして扱えます。

Step 3: OSのインストール

ダウンロードしたISOファイルを仮想ドライブにマウントして起動します。
インストーラー画面(GUI)が表示されますが、ここで重要な設定ポイントのみ抜粋します。

設定項目 推奨設定と解説
言語設定 日本語でも英語でもOK。
※ サーバーのログは英語で出力されるため、英語環境に慣れるのも手です。
ソフトウェアの選択 「最小限のインストール (Minimal Install)」
※ これが最も重要。「サーバー(GUI使用)」などを選ぶと余計なものが大量に入ります。
必要なものは後で自分で入れる。これが管理者の基本です。
インストール先 ディスクを選択して「自動構成」でOK。
※ 実務ではパーティション(/boot, /, /var, swap等)を手動で切りますが、今回は自動に任せます。
ネットワークとホスト名 右上のスイッチを「オン」にしてIPアドレスが取得できているか確認。
ホスト名には server01.local などを入力し「適用」。
ユーザー設定 Rootパスワード: 強固なものを設定。
※「rootアカウントをロック」のチェックは外しておく(学習用のため)。
コウ君

先生、「最小限のインストール」にしたら、インストールがあっという間に終わりました!
でも、再起動したら真っ黒な画面に文字だけ……これ、本当に動いてるんですか?

4. 最初のログインと生存確認

再起動後、localhost login: というプロンプトが表示されればインストール成功です。

ログインしてみよう

localhost login: root
Password: (インストール時に設定したパスワードを入力)

※ パスワード入力中は画面に何も表示されませんが、入力されています。自信を持ってEnterを押してください。

IPアドレスの確認

まず最初に自分がどのアドレスを持っているか確認します。
従来の ifconfig コマンドは最小インストールでは入っていません。現代の標準コマンド ip を使います。

[root@server01 ~]# ip addr show

enp0s3 などのデバイス名の箇所に、inet 192.168.x.x/24 といった表示があればネットワークに繋がっています。
もし 127.0.0.1 しか表示されない場合は、ネットワーク接続が確立されていません。

パッケージの更新

インストール直後でも、すでにパッケージが古くなっている可能性があります。
世界中のリポジトリから最新情報を取得し、システムを最新化します。

[root@server01 ~]# dnf update -y

ずらっと文字が流れ、最後に Complete! と出れば、あなたのサーバーは最新の状態です。

次回予告:黒い画面を「外」から操るSSH

第1回は、サーバー管理者の役割と、VirtualBoxを用いたAlmaLinux 9の構築を行いました。
これであなた専用のサーバーが立ち上がりましたが、VirtualBoxのコンソール画面はコピペもできず、非常に操作しづらいですよね。

次回は、実際の開発現場と同じように、「SSH(Secure Shell)」を使って外部のターミナル(Tera TermやPowerShell)から安全にサーバーを遠隔操作する方法を学びます。
セキュリティの第一歩でもある「公開鍵認証」も登場します。お楽しみに!

リナックス先生

サーバー管理は「準備」が8割。
今回作った環境は、次回以降どんどん汚していくから、失敗を恐れずに触ってみてね。
もし壊れたら? 仮想マシンごと削除して、またStep 1からやり直せばいいのよ。それが仮想化の強みだからね!

▼本講座で使用している推奨機材・VPS情報

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