「あと5GB足りない…」その時、あなたならどうする?
こんにちは!「LINUX工房」管理人の「リナックス先生」です。
今回から全8回にわたり、Linuxサーバー管理における「最強の武器」の一つ、LVM(論理ボリュームマネージャー)について徹底解説する大型連載をスタートします!
サーバーを運用していて、こんな絶望的な状況に陥ったことはありませんか?
先生、大変です!
Webサーバーのログファイルが溜まりすぎて、/var ディレクトリがいっぱいになっちゃいました!
エラーが出てサービスが止まりそうです!
隣の /home ディレクトリは100GBも空いてるのに、こっちに回せないんですか!?
落ち着いて、コウ君。
もし君が「普通のパーティション」で区切っていたら、隣の空き容量を移動させるのは至難の業よ(一度データを退避して切り直しが必要ね)。
でも、もし「LVM」を使っていたら? コマンド一発、わずか数秒で解決できるわ。
LVMは、従来の「物理的なディスク管理」の常識を覆す技術です。
この連載を読み終える頃には、あなたはディスク容量の増減を自由自在に操る「ディスクの魔術師」になっているはずです。
📚 LVM完全マスター(全8回)目次
現在地:【第1回】LVMの仕組みとメリットを完全図解
- 【第2回】物理ボリューム(PV)の作成とディスクの追加
- 【第3回】ボリュームグループ(VG)の作成と管理
- 【第4回】論理ボリューム(LV)の切り出しとフォーマット
- 【第5回】【核心】稼働中にディスク容量を増やす(lvextend)
- 【第6回】ディスク容量の縮小と物理ディスクの交換
- 【第7回】スナップショット機能で一瞬でバックアップを取る
- 【第8回】LVMトラブルシューティングとRAID構成
第1章:そもそもLVM(論理ボリュームマネージャー)とは?
LVMとは、Logical Volume Managerの略です。
一言で言うと、「ハードディスクやSSDといった物理的な記憶装置を、OS(Linux)に対して『仮想的なディスク』として見せる技術」です。
従来のパーティション管理との違い
LVMの凄さを理解するには、まず「従来の方法(標準パーティション)」の不便さを知る必要があります。
従来のパーティション(固定の間取り)
家を建てる時に「ここはキッチン(10畳)」「ここは寝室(6畳)」とコンクリートの壁で仕切ってしまうようなものです。
後から「キッチンが狭いから、寝室を削って広げたい」と思っても、コンクリートの壁を壊して作り直す(=フォーマットして再インストール)しかありません。
- デメリット: 作成後のサイズ変更が非常に困難。
- デメリット: 複数のディスクを1つにまとめることができない。
LVM(可変の間取り)
こちらは、家全体を一つの巨大なホールにして、可動式のパーテーションで部屋を区切るイメージです。
「キッチンを広げたい」と思ったら、パーテーションをずらすだけで完了します。
さらに、家の横に増築(新しいHDDを追加)して、ホール全体を広げることも可能です。
- メリット: サーバーを止めずにサイズ変更が可能。
- メリット: 複数のディスクを束ねて、1つの巨大なディスクとして扱える。
第2章:これだけは覚えろ!LVMを構成する「3つの層」
LVMを理解する上で、避けて通れない専門用語が3つあります。
これらは料理に例えると非常に分かりやすくなります。
| 用語 | 正式名称 | 料理での例え | 役割 |
|---|---|---|---|
| PV | Physical Volume (物理ボリューム) |
食材 (小麦粉、水) |
実際のHDDやSSD、またはそのパーティション。LVMの素材。 |
| VG | Volume Group (ボリュームグループ) |
巨大な生地 (こねた塊) |
複数のPVをまとめて一つにした「ディスクのプール」。ここから切り出す。 |
| LV | Logical Volume (論理ボリューム) |
パンやクッキー (成形したもの) |
VGから必要な分だけ切り出したもの。実際に/homeなどにマウントして使う。 |
1. PV(物理ボリューム):素材
買ってきたハードディスク(/dev/sdbなど)を、「LVMとして使うぞ!」と宣言した状態です。
LVM専用の管理用ラベルが貼られたディスクのことです。
2. VG(ボリュームグループ):貯蔵庫
LVMの核となる概念です。
例えば「1TBのHDD」と「500GBのSSD」という2つのPVを束ねて、「1.5TBの巨大なディスク(VG)」として扱います。
Linuxから見ると、個々のディスクの壁はなくなり、ただの「1.5TBの空き容量の塊」に見えます。
3. LV(論理ボリューム):実際の使用領域
VGという巨大な塊から、「Webサーバー用に100GB」「DBサーバー用に500GB」といった具合に切り出したパーティションです。
私たちは普段、このLVに対してファイルシステム(ext4やxfs)を作成し、データを保存します。
💡 ここがポイント!
VG(塊)に空き容量がある限り、LV(使用領域)はいつでも、コマンド一つで広げることができます。
もしVGの空きがなくなったら? 新しいHDDを買ってきてPVにし、VGに追加すればいいのです。
これが「無限に増築できる家」の正体です。
第3章:なぜプロはLVMを使うのか?3つのメリット
LVMは設定が少し複雑ですが、それを補って余りあるメリットがあります。
メリット1:【オンライン拡張】サーバーを止めずに容量アップ
これが最大の理由です。
Webサービスを運営していると、「予想外のアクセスでログが溢れた!」という事態が起こります。
LVMなら、Webサーバー(Apache/Nginx)を起動したまま、ユーザーに気づかれることなくディスク容量を増やすことができます。
「メンテナンス時間をください」と謝る必要はもうありません。
メリット2:【柔軟性】ディスクの物理的な制約を超える
1TBのディスクしか持っていなくても、LVMなら後から1TBを追加して、あたかも「2TBのディスク」として1つのフォルダ(/dataなど)で使うことができます。
物理的なディスクのサイズや個数を気にする必要がなくなります。
メリット3:【スナップショット】一瞬でバックアップ
LVMには「スナップショット」という機能があります。
これは「その瞬間のディスクの状態」を写真に撮るように保存する機能です。
例えば、大規模なアップデートを行う直前にスナップショットを取っておけば、万が一アップデートに失敗しても、コマンド一発で「アップデート直前の状態」に巻き戻すことができます。
第4章:LVMのデメリットと注意点
良いこと尽くめに思えるLVMですが、エンジニアとして知っておくべきリスクもあります。
⚠️ デメリット:復旧の難易度が高い
LVMは構造が複雑なため、もしディスクが故障してLVMの管理情報(メタデータ)が破損すると、データの救出が非常に困難になります。
「複数のディスクを束ねている」場合、そのうちの1本が壊れただけで、VG全体のデータが道連れになるリスクもあります(RAIDと組み合わせることで回避可能ですが)。
また、ブートローダー(GRUB)の設定も少し複雑になるため、/boot パーティションだけはLVMに含めず、標準パーティションにするのが一般的です。
第5章:次回への準備(学習環境を作ろう)
概念は理解できましたか?
次回からは、実際に黒い画面(ターミナル)でコマンドを叩いて、LVM環境を構築していきます。
学習を進めるにあたり、失敗しても良い「実験環境」を用意することを強くおすすめします。
自宅のVirtualBoxでも良いですが、「VPS」を使えば、実際のサーバー運用に近い環境で、ディスク追加や削除の練習が安全に行えます。
おすすめ学習環境:KAGOYA CLOUD VPS
LVMの学習には「ディスクの追加・削除」の練習が欠かせません。
KAGOYAなら、VPSインスタンスに200GBまでの追加ディスクを自由に着脱できる機能があり、LVMの実験場として最適です。
日額課金で数十円から使えるので、勉強する日だけ起動すればお財布にも優しいです。
まとめ:LVMはエンジニアの「自由の翼」だ
今回は、LVMの概念とメリット・デメリットについて解説しました。
- PV(素材)、VG(生地)、LV(パン)の3層構造
- サーバーを止めずに容量を増やせる
- 複数のディスクを一つに束ねられる
この3つを頭に入れておけば、次回の実践編も怖くありません。
LVMを使いこなせるようになれば、あなたはもう「ディスク容量不足」に怯えることはなくなります。
次回、第2回は「物理ボリューム(PV)の作成とディスクの追加」です。
実際にディスクをフォーマットし、LVMの素材として使えるようにする手順をコマンド付きで解説します。
お楽しみに!
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