「何ができますか?」と聞かれて、「Java」と答えてはいけない。
こんにちは!「LINUX工房」管理人の「リナックス先生」です。
前回は、AIによって激変した2026年のエンジニア転職市場について解説しました。
「言われたものを作るだけ」の仕事が減り、「何をどう作るか」を設計できる人材が求められている、という話でしたね。
第2回となる今回のテーマは「自己分析」です。
「えー、自己分析? 就活生じゃあるまいし……」と思いましたか?
しかし、多くのベテランエンジニアが転職活動で失敗する最大の原因は、実はここにあるのです。
自分のスキルを「言語名」や「経験年数」だけで語ってしまうと、AI時代には「それならAIでいいじゃん」と判断されてしまいます。
先生、耳が痛いです。
職務経歴書を書こうと思っても、「Java 5年」「Spring Boot 3年」みたいなリストしか書けないんです。
AIを使えば誰でもコードが書ける今、僕のこの5年間の経験って、価値があるんでしょうか?
自分には一体何ができるのか、分からなくなってきました……。
コウ君、大丈夫よ。
君が5年間で培ったのは「Javaの文法知識」だけじゃないはず。
炎上プロジェクトをどう鎮火したか、顧客の曖昧な要望をどう仕様に落とし込んだか、若手をどう育てたか。
そういった「泥臭い経験」こそが、AIにはコピーできない君だけの資産なの。
今回は、その埋もれた資産を掘り起こして、市場価値の高い「武器」に変える方法を伝授するわ!
本記事では、AI時代における「Will / Can / Must」フレームワークの再定義、キャリアパスの分岐点(スペシャリスト vs ジェネラリスト vs マネジメント)の見極め方、そして職務経歴書を書く前の「キャリアの棚卸しワークショップ」までを、実践的なノウハウと共に解説します。
🚀 ITエンジニア転職攻略講座 カリキュラム
- 【第1回】市場分析。2026年、AI共存時代に「勝てる」職種とスキルセット
- 【第2回】自己分析。ジェネラリストかスペシャリストか?キャリアの棚卸し
- 【第3回】書類選考。AIフィルターを突破する「職務経歴書」の書き方
- 【第4回】ポートフォリオ。GitHubとQiitaで「技術力」を可視化する
- 【第5回】企業選び。エージェント vs ダイレクトリクルーティング徹底比較
- 【第6回】面接対策。ライブコーディングと「カルチャーフィット」の攻略
- 【第7回】オファー面談。提示年収を100万円上げる交渉術
- 【第8回】入社後。試用期間を突破し、即戦力として定着するロードマップ
目次
第1章:Will / Can / Must の現代的解釈
自己分析のフレームワークとして有名な「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(求められること)」。
この3つの輪が重なる部分が「適職」だと言われますが、2026年の今、その中身は大きく変化しています。
Can(できること)の変化
かつては「Javaが書ける」「AWSの設定ができる」がCanでした。
しかし今は、これらはAI(GitHub Copilotなど)が8割方やってくれます。
現代のCanとは:
- AIハンドリング力: AIに適切なプロンプトを与え、出力されたコードの品質やセキュリティリスクを瞬時に判断し、修正できる能力。
- アーキテクチャ設計力: マイクロサービスかモノリスか、RDBMSかNoSQLか。AIには判断が難しい「トレードオフ」を考慮した設計ができる能力。
- 対人折衝力: ふわっとした要件をエンジニアリング用語に翻訳し、ステークホルダーと合意形成する能力。
Must(求められること)の変化
企業が求めているのは「労働力」ではなく「解決策」です。
現代のMustとは:
- ビジネスへの貢献: 技術を使って売上を上げる、コストを下げる、開発スピードを上げる。
- 再現性: 特定の天才だけができる属人化した開発ではなく、チーム全体のアウトプットを最大化する仕組み作り。
Will(やりたいこと)の重要性
AIは命令されれば何でもやりますが、「情熱」や「こだわり」は持ちません。
「どうしてもこのサービスを良くしたい」「この技術の面白さを広めたい」という人間のWillこそが、AIとの最大の差別化要因になります。
💡 プロの視点:「Will」が見つからない時は?
「特にやりたいことがない」というエンジニアも多いです。それは悪いことではありません。
その場合は「Being(どうありたいか)」で考えてみましょう。
「静かな環境で集中してコードを書きたい」「感謝される仕事がしたい」「新しい技術に触れていたい」。
状態(State)を目標にするのも立派なキャリア戦略です。
第2章:キャリアの分岐点。君はどのタイプで戦うか?
「エンジニア35歳定年説」は過去の話ですが、ある程度の年齢になるとキャリアの分岐点(クロスロード)が訪れます。
2026年現在、主なルートは以下の4つに大別されます。
1. スペシャリスト (Tech Lead / Architect)
概要: 技術の深淵を覗き込み、難易度の高い課題を技術力でねじ伏せる職人。
向いている人: 新しい技術を追いかけるのが苦でない人。コードレビューが好きで、他人のコードのバグを一瞬で見抜ける人。
2026年の傾向: AI生成コードの「監修者」としての役割が強まっています。「なぜ動くのか」をカーネルレベルやプロトコルレベルで理解している人材は、AI時代でも代替不可能です。
2. ジェネラリスト (Full Stack / Product Engineer)
概要: フロントエンド、バックエンド、インフラまで一通りこなし、一人でサービスを作り上げる万能型。
向いている人: 特定の技術へのこだわりより、「動くものを作ること」に喜びを感じる人。飽きっぽい人(好奇心旺盛な人)。
2026年の傾向: AIの恩恵を最も受ける職種です。不得意な分野をAIで補完することで、以前ならチームでやっていた規模の開発を一人で行えるようになり、「スーパーエンジニア」化しています。
3. エンジニアリングマネージャー (EM / VPoE)
概要: 「人」と「組織」にコミットする役割。採用、評価、チームビルディング、メンタリングを担う。
向いている人: 他人の成長を喜べる人。技術的な議論よりも、チームの雰囲気や生産性向上に関心がある人。
2026年の傾向: リモートワークとAIの普及により、コミュニケーションの難易度が上がっています。「AIと人間が混在するチーム」をどうマネジメントするかという新しいスキルが求められています。
4. プロダクトマネージャー (PdM / PMM)
概要: 「何を作るか(Why/What)」を決定し、ビジネスの成功に責任を持つ役割。
向いている人: エンジニアリングよりビジネスやユーザー体験(UX)に興味がある人。「技術がわかるPdM」は最強です。
2026年の傾向: ノーコード/ローコードツールの進化により、エンジニア出身でなくてもプロトタイプを作れるようになりましたが、裏側のデータ構造やスケーラビリティを理解している「元エンジニアPdM」の需要は爆発的に伸びています。
第3章:実践ワーク。STARメソッドで「資産」を掘り起こせ
自分のタイプが見えてきたら、次は具体的な「職務経歴書のネタ」を作ります。
ここで使うのが、外資系企業の面接などで標準的に使われる「STARメソッド」です。
STARメソッドとは?
- S (Situation): どのような状況・背景だったか?
- T (Task): どのような課題・任務があったか?
- A (Action): あなたは具体的にどのような行動をとったか?(ここが一番重要)
- R (Result): その結果、どうなったか?(定量的な成果)
ワークショップ:過去のプロジェクトを分解する
紙とペン(またはエディタ)を用意して、記憶に残っているプロジェクトを一つ書き出してみてください。
【悪い例】
JavaとSpring Bootを使って、顧客管理システムを開発しました。メンバーは5人でした。納期通りにリリースできました。
【良い例(STARメソッド)】
S (状況): 顧客管理システムの開発において、仕様変更が多発し、スケジュールが2週間遅延していた。
T (課題): 納期を守るためには、残りのタスクを圧縮しつつ、品質を維持する必要があった。
A (行動): 私はチームリーダーとして、AIコーディングツール(GitHub Copilot)の導入を提案し、ボイラープレートコードの生成を自動化した。また、優先順位の低い機能を次期フェーズに回すよう顧客と交渉した。
R (結果): コーディング効率が30%向上し、遅延を解消して予定通りリリースできた。さらに、AI活用のナレッジを社内に共有し、全社的な生産性向上に貢献した。
このように分解すると、「Javaができる」ことよりも「ツール導入による効率化提案」や「顧客との折衝」こそが、あなたのアピールポイントであることが見えてきます。
この「A (Action)」の部分にこそ、あなたの人柄や能力が表れます。
第4章:失敗体験こそが最大の武器になる
自己分析をすると、どうしても「成功体験」ばかり探してしまいがちです。
しかし、採用担当者やCTOが本当に聞きたいのは、実は「失敗体験」とその後の行動です。
なぜ失敗談が評価されるのか?
- 再現性のある学び: 「サーバーを落とした」という経験がある人は、同じミスを繰り返さないための仕組み(再発防止策)を知っています。
- ストレス耐性: トラブル時にパニックにならず、冷静に対処できるかどうかが分かります。
- 誠実さ: 自分のミスを認め、そこから学ぼうとする姿勢は、チーム開発において最も重要な資質です。
「黒歴史」を「武勇伝」に変える変換術
過去の失敗をただ嘆くのではなく、「そこから何を学んだか」「今はどう改善しているか」をセットで語れるように整理しましょう。
- 失敗: 本番環境の設定ファイルを誤って上書きし、サービスを停止させてしまった。
- 学び: 人間はミスをする生き物であることを痛感した。
- 改善(今の強み): 以降、手動オペレーションを廃止し、TerraformによるIaC(Infrastructure as Code)とCI/CDパイプラインを導入して、承認プロセスなしでは本番適用できない仕組みを構築するスキルを身につけた。
こう語れば、それはもう失敗談ではなく、「堅牢なインフラ構築スキルを持ったエンジニア」の証明になります。
第5章:ライフプランとの整合性。年収だけが正解ではない
最後に、仕事以外の要素も含めた「人生設計」とのすり合わせを行います。
転職の目的は「年収アップ」だけではありません。
2026年の働き方の多様性
- フルリモート: 東京の企業に所属しながら、家賃の安い地方や地元で暮らす。
- デジタルノマド: 世界中を旅しながら働く(時差の調整が必要)。
- 副業・複業: 本業で安定収入を得つつ、副業で新しい技術スタックに挑戦する。
- 週4勤務: 給与は下がるが、趣味や育児、学習の時間を確保する。
譲れない条件(Must)の明確化
以下の項目について、自分の中での優先順位を決めておきましょう。
- 年収: 最低いくら必要か? 理想はいくらか?(家のローン、教育費などから逆算)
- 時間: 残業は許容できるか? フレックスタイムは必須か?
- 場所: 出社頻度は? 完全リモート必須か?
- 技術: レガシー技術でも我慢できるか? モダンな環境でないと嫌か?
- 文化: トップダウン型か、ボトムアップ型か? 静かな職場か、ワイワイした職場か?
すべてを満たす企業は存在しません。
「年収は現状維持でいいから、フルリモートでGo言語が書けるところ」といったように、トレードオフの基準を持っておくことが、後悔しない転職の鍵です。
まとめ:地図を描くのは自分自身
お疲れ様でした。
第2回では、自己分析を通じて「自分の現在地」と「進みたい方向」を確認しました。
今回の重要ポイント:
- AI時代において「Can」は「コーディング力」から「設計力・AI活用力」へシフトしている。
- スペシャリスト、マネジメント、PdMなど、自分の適性に合ったルートを選ぶ。
- STARメソッドを使って、過去の経験(特に失敗談)を「強み」に変換する。
- 年収だけでなく、働き方やライフプランを含めた「幸福の定義」を決めておく。
自己分析は、一度やって終わりじゃないの。
半年に一度、職務経歴書をアップデートするつもりで定期的に行うのがおすすめよ。
自分の成長が可視化されるし、「この半年、何も新しいことしてないな…」という危機感にも気づけるからね。
さて、自分の武器(強み)が見つかりました。
次はそれを、採用担当者に響く形にパッケージングする作業です。
次回、第3回は「書類選考。AIフィルターを突破する職務経歴書の書き方」です。
今回掘り起こした素材を使って、書類通過率を劇的に上げる「最強のレジュメ」を作成します。お楽しみに!
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