「戻れない橋」を渡る前の、最後の安全確認
こんにちは!「LINUX工房」管理人の「リナックス先生」です。
前回は、あなたの相棒となるLinux(UbuntuかMint)を決めましたね。
いよいよ今回から作業に入りますが、その前に最も重要で、絶対に飛ばしてはいけない工程があります。
それは「バックアップ」と「インストールUSBの作成」です。
先生、バックアップって面倒くさいです…。
OSを入れるだけなら、今のデータはそのままで、上書き保存みたいにできませんか?
スマホのアップデートみたいな感じで。
甘いわ! 甘すぎるわコウ君!
WindowsからLinuxへの移行は、家のリフォームじゃなくて「建て替え」なの。
HDDの中身を一度「全消去」して、更地にしてからLinuxを建てるのよ。
バックアップをサボると、思い出の写真も仕事の書類も、すべて電子の海に消えるわよ?
今回は、データ消失の悲劇を防ぐためのバックアップ術と、Linuxをインストールするための魔法の鍵「ブートUSB(起動ディスク)」の作り方を、エンジニア視点で徹底解説します。
この作業が終われば、あとはクリックするだけです。頑張りましょう!
第1章:何をどこに? 失敗しないバックアップ術
「全消去」と言われて焦る必要はありません。
必要なデータだけを安全な場所に避難させれば良いのです。
1. 避難先(保存メディア)を用意する
データの量に合わせて、以下のいずれかを用意してください。
- 外付けHDD / SSD: データが大量(数百GB)にある場合。最も確実で速い。
- USBメモリ(大容量): 文書や写真が少しある程度なら、32GB〜64GB程度のもので十分。
- クラウドストレージ: Googleドライブ、OneDrive、Dropboxなど。ネット環境があれば無料で使える(容量制限あり)。
2. 「C:\Users(ユーザー)」フォルダを救出せよ
Windowsのデータは、基本的に以下の場所に集約されています。
Cドライブ > ユーザー > [あなたのユーザー名]
このフォルダを開くと、以下のフォルダがあるはずです。これらを丸ごとコピーしましょう。
| フォルダ名 | 中身の例 | 優先度 |
|---|---|---|
| Documents(ドキュメント) | Word、Excel、PDFなどの書類 | 最優先 |
| Pictures(ピクチャ) | スマホから取り込んだ写真、画像素材 | 最優先 |
| Desktop(デスクトップ) | 画面上に置いている作業中ファイル | 最優先 |
| Downloads(ダウンロード) | ネットから落としたファイル | 必要なら |
| Videos / Music | 動画や音楽ファイル | 容量次第 |
⚠️ 注意:アプリ(ソフト)はバックアップできない!
「インストールしたOfficeソフト」や「ゲーム本体」をコピーしても、Linuxでは動きません。
今回バックアップするのは、あくまで「あなたが作成・保存したファイル」だけです。
ブラウザの「お気に入り(ブックマーク)」は、ChromeやEdgeの同期機能を使ってクラウドに保存しておくと移行が楽です。
第2章:Linuxの「実体」を入手しよう(ISOダウンロード)
バックアップが終わったら、次はLinuxのOSデータを入手します。
このデータファイルの形式を「ISOファイル(アイエスオー)」と呼びます。
1. Ubuntuの場合
- Ubuntu Japan Teamの公式サイトへアクセスします。
- 「Ubuntu Desktop 24.04 LTS」(※数字は時期により変わりますが、必ず”LTS”とついているもの)の「ダウンロード」ボタンをクリックします。
- 数GBあるファイル(例:
ubuntu-24.04-desktop-amd64.iso)がダウンロードされます。
💡 なぜ「LTS」なのか?
LTSは「Long Term Support(長期サポート版)」の略です。5年間のセキュリティ更新が保証されているため、初心者は必ずこれを選びましょう。
2. Linux Mintの場合
- Linux Mint公式サイト(英語)へアクセスします。
- 「Download」ページへ行き、エディションを選びます。
(前回解説した通り、標準なら「Cinnamon」、低スペックなら「Xfce」を選びます) - ダウンロードミラー(配布サーバー)のリストから、「Japan」または近隣の国を選んでダウンロードします。
第3章:魔法のツール「Rufus」で起動USBを作る
ダウンロードしたISOファイルは、そのままでは使えません。
ただUSBメモリにコピーするのではなく、「PCがそこから起動できるように書き込む」必要があります。
これを行ってくれる神ソフトが「Rufus(ルーファス)」です。
準備するもの
- USBメモリ: 8GB以上(※中身は全消去されます!)
- Rufus: 公式サイトから最新版をダウンロード(インストール不要のポータブル版でOK)
作成手順(ここが山場!)
- PCにUSBメモリを挿します。
- ダウンロードした「Rufus」を起動します。
- 「デバイス」の欄で、挿したUSBメモリが選ばれているか確認します(間違えると別のドライブを消してしまいます!)。
- 「ブートの種類」の横にある「選択」ボタンを押し、先ほどダウンロードしたLinuxのISOファイルを選択します。
- ここが最重要!「パーティション構成」の設定
- PCが比較的新しい(Windows 8以降、UEFI対応)場合:「GPT」を選択
- PCがかなり古い(Windows 7以前、BIOSのみ)場合:「MBR」を選択
- ※分からなければ、とりあえず標準(GPT)で進めてOKです。起動しなかったら作り直せばいいだけです。
- 他の設定はいじらず、一番下の「スタート」をクリック。
- 「ISOイメージモードで書き込む(推奨)」を選びOK。
- 「データが消去されます」という警告が出るので「OK」をクリック。
書き込みには数分〜10分程度かかります。
緑色のバーが最後まで進み「準備完了」と表示されたら、世界に一つだけの「LinuxインストールUSB」の完成です!
第4章:次回の予習「BIOS/UEFI」って何?
USBは完成しましたが、ただPCに挿して再起動しても、いつものWindowsが立ち上がってしまいます。
なぜなら、PCは「まずはHDD(Windows)から起動する」という設定になっているからです。
次回は、PCの電源を入れた瞬間に特定のキー(F2やDeleteなど)を押して、PCの最深部である「BIOS(バイオス)」または「UEFI(ユーイーエフアイ)」画面を呼び出します。
そこで、「HDDじゃなくて、USBメモリから先に起動してね!」と命令順序を変える作業を行います。
少しハッカーっぽい作業になりますが、私がついています。大丈夫です。
まとめ:準備完了!あとは飛び込むだけ
お疲れ様でした!
これで「データの避難」と「新しいOSの鍵」が手に入りました。
もう後戻りできない…と不安になるかもしれませんが、バックアップさえあれば、最悪の事態になっても元のWindows環境に戻すことは可能です(手間はかかりますが)。
次回、いよいよ運命の第4回。
「震える手でクリックせよ!Linuxインストール完全ガイド」です。
PCの画面が黒くなり、見慣れない文字が流れる瞬間…エンジニアとしての第一歩を踏み出しましょう!
Linuxスキルを「実益」に変えよう!
この一連の作業(OSインストール)は、インフラエンジニアの業務そのものです。
もし「あれ、意外と楽しいかも?」と感じたら、あなたはエンジニアの才能があります。
その才能、趣味で終わらせるのはもったいないですよ?


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