「ネットワークパスが見つかりません」。あの忌まわしきエラーコード 0x80070035。
こんにちは!「LINUX工房」管理人の「リナックス先生」です。
自宅にUbuntuサーバーを立てて、Windows 11のメインPCとファイルを共有する。
これは自宅サーバー構築の第一歩であり、データ管理を効率化する最も便利な活用法の一つです。
しかし、2026年の現在、この「ファイル共有」の設定において、Windows 11のセキュリティ強化に伴う接続トラブルが頻発しています。
「エクスプローラーのネットワーク一覧にUbuntuが表示されない」
「IPアドレスを入力しても『アクセスできません』と拒否される」
「正しいパスワードを入れているはずなのに、認証が通らない」
あなたも今、この画面の前で解決策を探していませんか?
先生、助けてください!
Ubuntu 26.04でファイルサーバーを作ったんですが、Windows 11から全く繋がりません。
pingは通るんです。でも、\\192.168.1.10 って打っても「アクセスできません」の一点張りで……。
ネットの記事を見て smb.conf をいじくり回していたら、余計におかしくなっちゃいました!
コウ君、落ち着いて。
Sambaのトラブルは「Linux側の設定」と「Windows側のセキュリティポリシー」の不一致で起こることが多いの。
特に最近のWindows 11は、古い発見プロトコル(NetBIOS)を使用しない設定になっているから、新しい規格(WS-Discovery)に対応させる必要があるわ。
今回は、両サイドから一つずつ原因を特定して、確実に繋がる環境を作りましょう!
本記事では、Ubuntu(24.04 LTS / 26.04 LTS)とWindows 11(2026年最新版)の間で発生するファイル共有トラブルを、基礎から応用まで徹底的に解説します。
🔧 本記事の対象環境
- サーバー側: Ubuntu 24.04 LTS / 26.04 LTS (Samba 4.20以降)
- クライアント側: Windows 11 Home / Pro (25H2 / 26H1以降)
- ネットワーク: 一般的な家庭内LAN / 社内LAN (IPv4)
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目次
第1章:なぜ繋がらない?NetBIOSの非推奨化とWS-Discovery
具体的な手順に入る前に、近年のWindowsとLinux間の通信における変化を知っておきましょう。
「以前と同じ設定をしたのに繋がらない」原因の多くは、プロトコルの世代交代にあります。
1. NetBIOS over TCP/IP の無効化
かつてWindowsは、ネットワーク上のコンピュータ名解決に「NetBIOS」を使用していました。
しかし、セキュリティリスクやネットワーク負荷の観点から、Windows 11の最新環境ではNetBIOSが無効化、または優先度が下げられています。
代わりに採用されているのが WS-Discovery (WSD) です。
Ubuntu標準のSambaをインストールしただけでは、このWSDに対応していません。
その結果、「Sambaは稼働しているのに、Windowsのエクスプローラー(ネットワーク)には表示されない」という現象が発生します。
2. SMBv1の完全廃止
セキュリティ強化のため、古い通信プロトコルであるSMBv1は、現在のWindowsではデフォルトで無効化されています。
Ubuntu側の設定で、明示的にSMBv2以上を使用するように構成する必要があります(現代のデフォルト設定では問題ありませんが、古い設定ファイルを流用している場合は注意が必要です)。
3. ゲストアクセスの制限
Windows 11 Pro/Enterpriseでは、セキュリティポリシーにより「認証なしのゲストアクセス(Guest Access)」がデフォルトでブロックされています。
「誰でもアクセスできる共有フォルダ」を作ったつもりでも、Windows側が「セキュリティで保護されていない」と判断し、接続を拒否する仕様になっています。
第2章:【Ubuntu側】Sambaの正しいインストールと最小構成
まずは基本に立ち返り、Ubuntu側の設定をクリーンな状態から構築します。
複雑になった設定ファイルは、一度バックアップして初期化することをお勧めします。
1. インストールとサービスの確認
ターミナルを開き(Ctrl+Alt+T)、以下のコマンドを実行します。
sudo apt update sudo apt install samba samba-common-bin
2. smb.conf の設定(最小構成)
設定ファイルを編集する前に、オリジナルのバックアップを取ります。
sudo cp /etc/samba/smb.conf /etc/samba/smb.conf.bak
エディタで設定ファイルを開きます。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
ファイルの末尾に、共有したいフォルダの設定を追記します。
ここでは、最もトラブルが少ない「ユーザー認証あり」の設定例を示します。
[Share] comment = Ubuntu Share path = /home/kou/share read only = no browsable = yes valid users = @sambashare create mask = 0660 directory mask = 0770 force group = sambashare
※ path は実際の共有フォルダのパスに合わせてください。
3. Sambaユーザーの作成
ここが最大の落とし穴です。
Ubuntuのシステムログインユーザーと、Sambaのアクセスユーザーは「別物」として管理されています。
Ubuntuにユーザー kou が存在しても、Sambaのデータベースに登録しない限りアクセスできません。
# 共有用グループの作成(なければ) sudo groupadd sambashare # ユーザーをグループに追加 sudo usermod -aG sambashare kou # Sambaユーザーとして登録(パスワードを設定) sudo smbpasswd -a kou
ここで設定したパスワードが、Windowsから接続する際に入力するパスワードになります。
4. 設定の反映
sudo systemctl restart smbd nmbd
第3章:【重要】エクスプローラーに表示させる魔法「wsdd」
「設定は合っているはずなのに、Windowsの『ネットワーク』にUbuntuが出てこない!」
これを解決するのが、wsdd (Web Services Discovery Daemon) です。
このデーモンを導入することで、Windows 11が「ネットワーク上にUbuntuサーバーが存在する」ことを正しく認識できるようになります。
wsddのインストール
Ubuntu 24.04/26.04では、標準リポジトリに含まれています。
sudo apt install wsdd
インストールが完了したら、サービスが動いているか確認します。
sudo systemctl status wsdd
Active: active (running) となっていればOKです。
これだけで、数分以内にWindowsのエクスプローラーにUbuntuのアイコンが出現するはずです。
💡 プロの豆知識:ホスト名の解決
wsddを入れても名前解決(ping ubuntu-server)ができない場合は、Windows側に mDNS (Multicast DNS) の設定が必要な場合があります。
Ubuntu側には avahi-daemon が標準で入っていますが、Windows側でアクセスする際は \\ubuntu-server.local のように .local を付けると名前解決できることが多いです。
第4章:【権限】「アクセス許可がありません」の正体はLinuxパーミッション
Sambaの設定は完璧。Windowsからも見えている。
でも、フォルダを開こうとすると「アクセス許可がありません。ネットワーク管理者に問い合わせてください」と言われる。
この原因は、Sambaの設定ではなく「Linuxファイルシステムのパーミッション(権限)」にあります。
Samba側が「通っていいよ」と許可しても、LinuxのOS自体が「このユーザーはこのフォルダに書き込む権限を持っていない」と拒否している状態です。
フォルダ権限の修正
第2章で設定した共有フォルダ /home/kou/share の権限を確認します。
ls -ld /home/kou/share
もし所有者が root:root になっていたり、権限が 755(グループ書き込み不可)になっていたりすると、書き込みができません。
以下のコマンドで、Sambaグループが読み書きできるように修正します。
# 所有グループをsambashareに変更 sudo chown :sambashare /home/kou/share # グループに書き込み権限を付与 (770) sudo chmod 770 /home/kou/share # 特殊ビットSGIDを付与(配下に作られたファイルのグループを継承させる) sudo chmod g+s /home/kou/share
これにより、「Samba経由でアクセスしてきた sambashare グループのメンバー」が、Linuxシステム上でも正しく読み書きできるようになります。
第5章:【Windows側】ネットワークプロファイルと資格情報の確認
Ubuntu側の設定は完璧です。それでも繋がらない場合、Windows 11側の設定を見直す必要があります。
Windowsは「接続先のネットワークが安全かどうか」によって、通信を厳しく制限します。
1. ネットワークプロファイルが「パブリック」になっている
これが最も多い原因の一つです。
Wi-FiやLANに初めて繋いだ時、「パブリックネットワーク(推奨)」を選んでいませんか?
パブリック設定では、PCはステルス状態になり、ファイル共有機能や他デバイスの検出がブロックされます。
修正手順:
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」を開く。
- 現在接続している「Wi-Fi」または「イーサネット」をクリック。
- ネットワークプロファイルのタイプを「プライベート」に変更する。
2. 資格情報マネージャーの古い記憶
以前に間違ったパスワードを入力して「資格情報を記憶する」にチェックを入れた場合、Windowsはずっとその間違ったパスワードでログインを試み、拒否され続けます。
修正手順:
- スタートメニューで「資格情報」と検索し、「資格情報マネージャー」を開く。
- 「Windows資格情報」を選択。
- 一覧からUbuntuのIPアドレスやホスト名を探し、あれば「削除」する。
これで、次回接続時に改めてユーザー名とパスワードを聞かれるようになります。
3. IPアドレスでの直打ち確認
エクスプローラーにアイコンが出なくても、IPアドレス直接入力なら繋がることがあります。Windowsキー + R を押し、以下を入力してEnterを押してください。
\\192.168.1.XX
(※XXはUbuntuのIPアドレス)
これで認証画面が出れば、ネットワーク的な疎通は取れています。名前解決(DNS/mDNS)の問題だけです。
第6章:【切り分け】IPアドレス直打ちとログ確認の極意
それでも解決しない場合、プロが行う「切り分けフロー」を実行します。
ステップ1:ファイアウォール(UFW)の確認
UbuntuのファイアウォールがSambaのポート(TCP 445)を塞いでいませんか?
sudo ufw status
Status: active なのに Samba や 445 の許可がない場合は、以下を実行します。
sudo ufw allow samba
ステップ2:設定ファイルの文法チェック
testparm コマンドを使うと、smb.conf に記述ミスがないかチェックしてくれます。
testparm
「Loaded services file OK.」と表示されれば文法は合っています。
もし「Unknown parameter」などのエラーが出たら、タイプミスを修正してください。
ステップ3:ログファイルの確認
Sambaがなぜ接続を拒否したのか、ログに答えが書いてあります。
# リアルタイムでログを監視 tail -f /var/log/samba/log.smbd
この状態でWindowsから接続を試みてください。NT_STATUS_LOGON_FAILURE ならパスワード間違い、NT_STATUS_ACCESS_DENIED ならLinuxのパーミッション不足です。
第7章:GUIで楽をする。CockpitによるSamba管理
「コマンドラインでの設定はもう嫌だ!」「ユーザー管理をもっと楽にしたい!」
そんなあなたには、Ubuntu 24.04以降で推奨されているWeb管理ツール「Cockpit」の導入をお勧めします。
CockpitとSambaプラグインの導入
Webブラウザからサーバーを管理できるツールです。
sudo apt install cockpit cockpit-file-sharing sudo systemctl enable --now cockpit.socket
使い方
- ブラウザで
https://[UbuntuのIP]:9090にアクセスします。 - Ubuntuのユーザー名とパスワードでログインします。
- 左メニューの「File Sharing」を選択します。
ここから、共有フォルダの作成、権限の変更、Sambaユーザーの追加などが、マウス操作だけで直感的に行えます。smb.conf を手書きしてミスをするリスクが激減するため、初心者には特におすすめの方法です。
まとめ:繋がらない時は「ログ」と「権限」を見よ
お疲れ様でした。
Sambaのトラブルは複雑に見えますが、原因は以下の4つに集約されます。
- 発見できない:
wsddが入っていない。 - 認証できない:
smbpasswdでSambaユーザーを作っていない。 - 拒否される: Linuxのパーミッション(chmod/chown)が不適切。
- Windows側の設定: パブリックネットワークになっている。
ファイル共有ができるようになると、Ubuntuの利便性は一気に上がるわ。
バックアップ先にしたり、メディアサーバーにしたり、可能性は無限大よ。
もしまた繋がらなくなったら、この記事のチェックリストに戻ってきてね。
これで解決しない場合や、より高度なアクセス権限(ACL)の設定が必要な場合は、以下の過去記事も参考に、基礎知識を見直してみてください。
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