【Linux移行講座 第5回】周辺機器を動かそう。プリンター、スキャナ、Wi-Fi、Bluetoothの設定術

「ドライバCD」を探すのは、もう終わりにしましょう。

こんにちは!「LINUX工房」管理人の「リナックス先生」です。
前回は、ブラウザやOfficeソフトなどの「アプリケーション導入」について解説しました。
これでPCの中身(ソフト)は充実しましたね。

さて、PCは単独で使うものとは限りません。
年賀状を印刷するためのプリンター、書類を取り込むスキャナ、快適なネット生活のためのWi-Fi、そしてワイヤレスイヤホンなどのBluetooth機器
「Linuxに変えたら、これらが動かなくなるんじゃないか?」と不安に思っていませんか?

コウ君

先生、まさに今、プリンターの前で固まってます。
実家のプリンター、5年前に買ったCanonの複合機なんですけど、Windowsの時はCDを入れてドライバをインストールしてましたよね?
Linux Mintを入れたこのPCにはCDドライブがないし、メーカーのサイトを見ても「Linux用ドライバ」が見つからない機種もあるんです。
これ、もう粗大ゴミですか…?

リナックス先生

捨てちゃダメよ、コウ君!
実はね、Linuxの世界では今、「ドライバ不要(Driverless)」の革命が起きているの。
最近のプリンターや周辺機器は、USBやWi-Fiで繋ぐだけで、Linuxが勝手に認識して使えるようになることが多いのよ。
むしろWindowsより設定が簡単なこともあるわ。
今回は、周辺機器をLinux Mintで使いこなすための「接続の極意」を教えるわ!

本記事では、Linux Mint 22 (Wilma) をベースに、プリンター、スキャナ、Wi-Fi、Bluetooth、Webカメラなどの周辺機器を接続する方法と、認識しない場合のトラブルシューティングを徹底解説します。

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現在地:【第5回】周辺機器を動かそう。プリンター、スキャナ、Wi-Fi、Bluetoothの設定術


第1章:プリンター接続「ドライバ不要の時代へ」

昔のLinuxは、プリンターの設定が鬼門でした。
しかし現在は、IPP (Internet Printing Protocol) EverywhereAirPrint といった技術のおかげで、ドライバをインストールせずに印刷できる機種が激増しています。

1. 基本:まずは繋いでみる

一番簡単な方法は、何も考えずに接続することです。

  1. プリンターの電源を入れ、用紙をセットします。
  2. 【推奨】ネットワーク接続: プリンターを家のWi-Fi(またはLANケーブル)に接続します。
  3. USB接続: PCとプリンターをUSBケーブルで繋ぎます。
  4. Linux Mintのメニューから「プリンター」を開きます。
  5. 「追加」ボタンを押します。

「ネットワークプリンター」の欄に、あなたのプリンター名(例: Canon TS8030 series)が表示されていませんか?
表示されていれば、それを選択して「進む」→「適用」とするだけで設定完了です。
「ドライバレス」という項目が選ばれていれば成功です。

2. メーカー別:ドライバが必要な場合

もし自動認識しない場合や、詳細な設定(両面印刷や画質調整など)ができない場合は、ドライバが必要です。

HP (ヒューレット・パッカード)

Linuxとの相性が最強です。
Linux Mintには最初からHPLIPというHP製ドライバ・管理ツールが組み込まれています。
メニューから「HPLIP Toolbox」を起動するだけで、インク残量の確認やヘッドクリーニングまで行えます。

Brother (ブラザー)

Linuxサポートに非常に熱心なメーカーです。
公式サイトに行くと、Linux用の簡易インストーラー(Driver Install Tool)が配布されています。
ターミナルでそのツールを実行するだけで、スキャナドライバも含めて一括インストールしてくれます。

Canon (キヤノン) / Epson (エプソン)

公式サイトでLinux用ドライバ(.deb形式)を探します。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックすればインストールできます。
※ただし、最近の機種は前述の「ドライバレス接続(AirPrint/IPP)」で動くことが多いため、まずはそちらを試してください。

💡 プロのノウハウ:USB接続よりネットワーク接続!
Linuxでプリンターを使う場合、USBケーブルで直結するよりも、「Wi-FiやLAN経由」で接続することを強くおすすめします。
USB接続の場合、専用のバイナリドライバが必要になることが多いですが、ネットワーク接続なら汎用的なプロトコル(IPP)で会話できるため、トラブルが圧倒的に少ないからです。


第2章:スキャナ接続「SANEとDocument Scanner」

複合機の場合、スキャナ機能も使いたいですよね。
Linuxには SANE (Scanner Access Now Easy) という標準規格があり、多くのスキャナがこれに対応しています。

1. ドキュメントスキャナ (Simple Scan)

Linux Mintには標準で「ドキュメントスキャナ」(旧名: Simple Scan)というアプリが入っています。
これを起動し、左上の「スキャン」ボタンを押してみてください。
プリンターと同様、ネットワーク接続されていれば、多くの機種でそのままスキャンが始まります。

2. 認識しない場合の救世主「VueScan」

「古いスキャナでドライバがない」「SANEでも認識しない」という場合。
有料ソフトになりますが、「VueScan」という最強のスキャナソフトがあります。
これは独自に数千機種のドライバを内蔵しており、メーカーがサポートを打ち切った20年前のスキャナでもLinuxで動かせることがあります。
無料で試用できるので、どうしても動かない時の最終手段として覚えておいてください。

🔧 技術コラム:USB接続のスキャナが動かない?
最近のLinux Mintでは、ipp-usb というデーモンが動いており、これがUSBポートを占有してしまい、従来のスキャナアプリから見えなくなるトラブルがあります。
もしUSB接続のスキャナが認識しない場合は、ターミナルで sudo apt remove ipp-usb を実行して再起動すると直ることがあります。


第3章:Wi-Fi接続と「切れる」問題の解決策

ノートPCならWi-Fi接続は必須です。
基本的には、タスクバーのアイコンからSSIDを選んでパスワードを入れるだけですが、Linux特有のトラブルもあります。

1. 隠蔽SSID (ステルスSSID) への接続

SSIDを隠しているルーターに接続する場合、一覧には出てきません。

  1. ネットワーク設定から「非表示ネットワークに接続」を選択。
  2. SSID名とパスワードを手動で入力。
  3. セキュリティの種類(WPA2/WPA3 Personalなど)を正しく選択して接続。

2. 「Wi-Fiが頻繁に切れる」問題の対処法

「接続はできるけど、Youtubeを見ているとプチプチ切れる」「スリープ復帰後に繋がらない」。
これはLinuxの「Wi-Fi省電力モード」が悪さをしているケースがほとんどです。
プロのエンジニアは、この機能を無効化して通信を安定させます。

【設定手順】
ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して設定ファイルを開きます。

sudo xed /etc/NetworkManager/conf.d/default-wifi-powersave-on.conf

ファイルの中に wifi.powersave = 3 という行があります。
この数字を 2 に書き換えて保存します。

[connection]
wifi.powersave = 2

意味:
3 = 省電力有効 (Enable)
2 = 省電力無効 (Disable)

書き換えたらPCを再起動してください。
これでWi-Fiチップが常にフルパワーで動作するようになり、接続が劇的に安定します。


第4章:Bluetooth機器と高音質コーデック

ワイヤレスイヤホンやマウスの接続です。
Linux Mint 22からは、オーディオシステムが最新の「PipeWire」に変更されたため、Bluetoothオーディオの品質が向上しています。

1. ペアリング手順

  1. タスクバーのBluetoothアイコンをクリックし、「デバイス」を開きます。
  2. イヤホンなどをペアリングモードにします。
  3. 「検索」を押してデバイスが表示されたら接続します。

2. 高音質コーデック (LDAC / AptX) の使用

Sonyなどの高級イヤホンを使っている場合、高音質コーデックを使いたいですよね。
接続後、「サウンド設定」を開きます。
出力デバイスの項目で、使用中のBluetoothイヤホンを選択すると、「プロファイル」や「コーデック」を選べるプルダウンメニューがあります。

ここで LDACAptX HDAAC などを選択できます。
(Windows 10ではLDACに標準対応していなかったため、実はLinuxの方が高音質で楽しめる場合があります!)

3. Bluemanの活用

標準のBluetoothマネージャーでうまく接続できない場合、「Blueman」という高機能マネージャーを導入すると解決することがあります。
ソフトウェアマネージャーから「blueman」をインストールしてみてください。
より詳細なペアリング操作が可能になります。


第5章:Webカメラとゲームパッド

テレワークやゲームに必要なデバイスです。

Webカメラ

USB接続のWebカメラは、UVC (USB Video Class) という標準規格に対応しているため、99%の製品は挿すだけで認識します。
ドライバのインストールは不要です。
ZoomやGoogle Meetを開けば、すぐに映像が映ります。
動作確認には「Cheese」というアプリ(標準搭載またはソフトウェアマネージャーで入手)が便利です。

ゲームパッド (コントローラー)

PlayStation 4/5のコントローラー(DualShock/DualSense)や、Xboxコントローラーは、USBまたはBluetoothで接続するだけで、Linuxカーネルが自動認識します。
Steamなどのゲームですぐに使えます。
特にPS5コントローラーは、Linuxの方がWindowsよりドライバの対応が早いことすらあります。


まとめ:Linuxのハードウェア対応は進化している

お疲れ様でした!
「周辺機器が動かない」というのは、一昔前のLinuxの話。
現在は標準規格の普及により、むしろWindowsよりも簡単に繋がるケースが増えています。

今回の重要ポイント:

  • プリンターは「ネットワーク接続」すれば、ドライバ不要で動く可能性大。
  • スキャナは「ドキュメントスキャナ」アプリで試す。
  • Wi-Fiが不安定なら「省電力設定の無効化(powersave = 2)」を試す。
  • Bluetoothイヤホンは「PipeWire」のおかげで高音質・低遅延。

これで、PC本体だけでなく、周りの機器環境も整いました。
安心して年賀状も作れますし、Web会議もできます。

さて、環境が整ってきたところで、次に気になるのは「セキュリティ」「データの守り方」です。
「Linuxはウイルスに強い」と言われますが、本当でしょうか?
何も対策しなくていいのでしょうか?

次回、第6回は「セキュリティとバックアップ。ファイアウォール設定とTimeshiftによるシステム保護」です。
Linux Mint標準のファイアウォール設定、ウイルス対策ソフトは必要か?という議論、そして最強のバックアップツール「Timeshift」の使い方を深掘りします。
あなたのPCを鉄壁の要塞にする方法を解説します。お楽しみに!

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